婚礼の知識 vol.7「結婚式編」 神前結婚式の意義
神前結婚式の
広まりと意義

イメージ 今日の神前結婚式が始まったきっかけは、明治三十三年に宮中三殿の賢所(かしこどころ)で行われた、時の皇太子(のちの大正天皇)と九条道孝女節子姫(くじょうみちたかのむすめさだこひめ)との結婚の儀と考えることができます。この婚儀は、国民にたいへん強い印象を与えました。その翌年、日比谷大神宮(現在の東京大神宮)で、一般国民を対象にした模擬結婚式が行われ、これにより、民間に神前結婚式が広まることになったのです。
 神前結婚式の形式は、古代の神話に登場する伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)の結婚式を模範としています(。神話が伝えるところの日本の発展の基礎を固められた、この二神の結婚を模範とする神前結婚式は、新しい家庭の誕生、家庭の繁栄による地域社会や国の発展につながるという意味を持つとも言えます。伝統に裏付けられた荘厳さばかりではなく、意義的にもたいへん深い魅力があります。

神殿に
供えられるもの

 神前結婚式場の前面には、神殿がしつらえられています。神殿には、御神体が置かれ、御神酒(おみき)、神饌(しんせん)、お祓いの用具、御神酒を注ぐ銚子や盃が供えられます。また、玉串を供える玉串案が置かれています。

●御神体
 神体とは、神霊を象徴する神聖な物体のこと。礼拝の対象となり、古来より、鏡、剣、玉、鉾などが用いられました。鏡、剣、玉といえば、天皇が即位する時に引き継ぐ”三種の神器“が有名です。八咫鏡(やたのかがみ)は、天岩戸(あまいわと)に隠れられた天照大神(あまてらすおおみかみ)を岩屋から出すときに使われたものです。今では、鏡はすべてのものを照らし、善悪の姿を映すものとして、正直な心の本源と意義づけられています。天叢雲剣剣(あめのむらくもの)は、須佐之男命(すさのおのみこと)が出雲で八岐大蛇を退治したときに得たもので、強い意志と決断力、総じて知恵のことを表しています。八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)は、丸くやさしい形をしていることから、慈悲の心を意味すると解釈されています。ユウベルグループの神前式場には、この三種の神器である鏡、剣、玉を安置しています。

●御神酒
 酒の尊敬語で、神にお供えする酒のこと。食べ物は天地の神から授かったものという考えがあり、その中でも米は、天照大神から授けられたものといわれ、日本人は米に対して、特別な感情を持ってきました。酒は、そのお米からできたものであり、古くから神をまつるに不可欠のものでした。
 御神酒は、瓶子(蓋つきの白い陶器)に入れ、左右一対用意します。

●神饌
 神に供える飲食の総称。神饌には、生饌(調理しない生のままのもの)と熟饌(調理したもの)の二つがありますが、現在は特別な場合を除いて生饌が用いられています。三方(折敷の下に台のついたもので、台の三方に穴が開いていることから三方という)に、米、魚、野菜、果物などをのせて供えます。

参考文献/「神道辞典」(弘文堂)、「神道のしきたりと心得」(池田書店)、「神事の基礎知識」(講談社)、「いま、知っておきたい神さま神社祭祀」(主婦の友社)

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