《枕飾りの準備》
亡くなった方の枕もとでお経を唱えてもらうために、枕飾りの準備をします。枕飾りは、遺体の枕もとに小さな机を置き、白布を掛けその上に、五具足(華瓶二基、燭台二基、香炉一基)を乗せた飾り付けのことです。
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《 華(花)》
華は樒を用い、左右対称にして端に置きます。「華は慈悲を生じ、怒を消滅する故に、忍辱(不平不満を言わずにがまんすること)を表し」ていると言われています。
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《 香 》
香は六種供養(華・塗香・水・飯食・灯明・焼香)の一つとされ、「真俗仏事編」に「焼香は遍至法界(広い真理の世界)の義で香煙薫ずるは勤めて怠らざる相なれば精進を表し」とあるように、努力して励む供養を説いています。
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《 灯明 》
華の内側に燭台にローソクを差した灯明を置きます。灯明は釈尊が涅槃に入られる折にひとりの弟子に向かって「この世で自らを島(灯)とし、自らをよりどころとして、他人をよりどころとせず、法を島(灯)とし、法をよりどころとして他をよりどころとせずにあれ」と説かれたことから、自らと法(真理)をよりどころとする、すなわち、自灯・法灯(自分を顧み真実を顧みること)、あるいは自帰依・法帰依(自らに従うこと、真実に従うこと)、の「二灯一光( 自らと真理の灯に従うことにより一条の進むべき道へ光が射す)」から由来する習俗です。また、施灯功徳経という経典には、灯明をそなえれば、この世では三種の清らかな心を得、命が終わるときには三種の知恵を得、死後には三十三天(帝釈天を主とする天)に生まれることができるとも説いています。
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《 枕飯・枕団子 》
地方によっては、死後直ちに枕飯と枕団子を作り供える風習があります。これは、死後、肉体から遊離した霊魂を呼び返えし再び蘇らせようとした、魂呼びの一種であると言われています。浄土真宗ではこの枕飯、枕団子は供えません。
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《四華(しけ又はしか)》
白い紙を細長く切り、細かく横の刻み目を入れ細い棒に螺旋状に巻き付け、四本を一つの台に差したもの一対を供えます。(地域によって供えないところもあります。)四華は、釈尊が涅槃に入られる時、死を悼み悲しんで沙羅双樹の花が白変したという沙羅双樹林になぞらえ白い紙で設えられています。従って、釈尊の涅槃を、ひていは死者が涅槃に入ることを象徴しているとされています。
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