戒名・法名はできるだけ生きている内に頂戴したいものです。
戒名は本来、灌頂(仏門に入る人の頭上に水を注ぐ儀式)、得度(悟りの世界にはいること)、授戒して仏門に入った者に与えられるものでした。従って戒名は生存中に与えられるものでした。現在では、仏式で葬儀を行い、仏弟子になるという理由で戒名を与えていることから、死者の名前であると一般的に思われていますが、先述した「授戒」を探ってみると、戒名をもらうことの大変さが分かります。
授戒は、仏教徒としての生活規範を守ることを誓約し、宣言する儀式のことで、「戒」はその規範を示すものです。その儀式は、在家・出家、男女の別、時代や地域によって異なりますが、三帰戒、五戒、あるいは十重禁戒、円頓戒などがありますが、例えば「五戒」には
1.不殺生(生きたものに危害を与えたり殺したりしないこと。)
2.不偸盗(盗みを働かないこと。)
3.不邪淫(夫以外の男、妻以外の女と交わらないこと。)
4.不妄語(うそをつかないこと。)
5.不飲酒(お酒を飲まないこと。)
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が規範とされていて、十重禁戒では、これに5つの規範が加わり、円頓戒などではさらに厳しさは増します。このように、戒名を受けることは、「わたしは、お釈迦様の教えに従い、戒律を守ります。」と宣言するとともに、仏教徒として認められることを意味し、以前の仏教の世界では大変だったようです。
浄土真宗は「法名」と呼びます。
浄土真宗では戒名のことを「法名」といいます。戒名は、授戒して戒律を守っている人につけられるものですが、戒律を持たない浄土真宗は、授戒の儀式はなく、帰敬式(おかみそり)を受けると「釈○○」という法名をつけていただけることになります。

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