葬儀の知識9 戒名の種類・意義
前回は戒名(法名)の歴史やその意義について説明しましたが、今回はその種類や名前の表す意味などについてご説明しましょう。

 一般的な戒名は右記の様に付けられていて、一定のルールがあります。戒名は古くは二文字が通例でしたが、道号や宗派特種のものを付け加えるようになり、室町時代以降は、六文字以上で表し、これを戒名もしくは法名と呼ぶようになりました。○印は院号、△印は道号、□印は法号を表しこの三種が戒名(法名)の基本型をなしています。それに居士(こじ)・大姉(だいし)などの位号の組み合わせにさらに増字して位階をつくります。

○○院△△□□居士
○○院△△□□居士
△△□□大姉
△△□□大姉
【院 号】法号の上に冠するもののなかで、最上の尊称としているのが院号または院殿号です。院号はもともと天皇の譲位後の御所を院と称したようにその人の地位によっていましたが、最近では信心の深さや寺院への貢献度によっても与えられる号です。

【道 号】
中国では古来名前の他に字(あざな)を持ち、尊んで呼ぶ場合によく字が用いられました。これを沙門(出家して仏門に入った人)の別号として用いられたのがはじまりといわれ、尊敬を込めた呼び名です。

【法 号】法号は宗派の経典や論釈(経典の解釈)、その宗派の信仰を明示するに適した法語の中から選ばれることとなり、仏教の教えを示すこととなります。室町時代以前ではこの二文字を法名と呼んでいたようです。

【釈 号】浄土真宗では必ず「釈○○」と「釈」の字が付きます。これは「釈子」の略で、釈尊の弟子になったということを意味しています。

【居士・大姉】居士は、家長、家主、長者の義で男性の尊称として用いられ、大姉は女性の尊称として居士と同列に用いられています。またこれと同等に「信士(しんじ)・信女(しんにょ)」が用いられますが、経典に説かれてい善男子、善女人という意味です。

【その他】
童子・童女、嬰子(えいじ)・嬰女(えいにょ)などは成人に達していないことをあらわしています。

《参考文献》
「仏教儀礼辞典」藤井正雄編
「仏教学辞典」法蔵館刊
「仏教大辞典」古田紹欽・金岡秀友・鎌田茂雄・藤井正雄監修
「浄土真宗のおつとめ心得」浄土真宗本願寺派東京教区青年僧侶協議会監修

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