あるとき森が燃えていました
森の生きものたちは
われ先にと逃げていきました
でもクリキンディという名のハチドリだけは
いったりきたり
口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは
火の上に落としていきます
動物たちがそれを見て
「そんなことをしていったい何になるんだ」
といって笑います
クリキンディはこう答えました
「私は私にできることをしているの」
出典:『私にできること〜地球の冷やし方』(ゆっくり堂)、『ハチドリのひとしずく』(辻信一監修、光文社)
- [ハチドリ]
- 中南米と北米に生息する、体長10センチ前後の鳥。「飛ぶ宝石」と呼ばれ、光の当たる角度によって、玉虫色の身体は様々な色に変化する。英名はハミングバード。蜂のように空中で静止して花の蜜を吸うとき、「ブーン」という羽音を立てることに由来する。